心理職の仕事の分野

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心理職の仕事の分野

心理カウンセラーはあらゆる分野で活躍しています。心理学の知識を用いる心理職というくくりで、各分野でどのような活躍をしているのかを見てみましょう。


医療機関などで活躍する心理カウンセラー

 心理カウンセラーが活躍する医療系の機関は、総合病院の精神科・精神神経科・心療内科・神経科、精神病院・精神クリニック、小児科、精神保健センター、医療研究センター・・・などがあります。

 病院の臨床心理士はかつては、精神科がその主な活躍範囲でしたが、心療内科をはじめ、外科・産婦人科・小児科など、心理職のニーズは確実に拡大してきました。
さらに、この分野のカウンセリングは、児童カウンセリング、エイズカウンセリング、不妊カウンセリングなど、各診療科からの要請に応じた細分化・専門化も進んでいます。


 実際の仕事は、病院での心理療法、心理検査、カウンセリング、研究、その他、医療研究センターなどでがんとストレスとの関係を分析・研究したり、ターミナルケア(終末医療)で患者の心のケアをしたり、精神保健センターや、母子医療センターなどの施設でカウンセリング、心理治療を行ったり・・・と、実に様々な活躍範囲があります。



 医療機関では、心理カウンセラーや臨床心理士が必ず常勤しているとは限りません。常勤する場合もありますが、各機関の医療方針によって、カウンセラーの配置や職域が異なったりします。

 病院に必ずいる看護師や専門技師であれば、待遇なども概ね全国共通のものさしがありますが、心理カウンセラーの場合は機関による方針の差に大きく影響を受けるため、待遇もまちまちです。
 ですが、決して恵まれた待遇とはいえない中でも、病院の重要なスタッフとして信頼され、活躍しているカウンセラーはたくさんいます。

関連する資格

 臨床心理士、学会認定交流分析士、精神保健福祉士、認定心理士、認定カウンセラー、精神対話士などが主に関連します。



教育分野の心理カウンセラーの職場

 教育分野の心理カウンセラーは、小学校・中学校・高校、教育委員会、教育相談所などで活躍します。文部科学省が配置を進めるスクールカウンセラーが有名ですが、自治体によっては学校相談員、心の教育相談員、児童指導員などの名称で心理職が募集される場合があります。

 各自治体で募集され、学校・教育委員会に配属というケースが多いでしょう。

 単純に子供の相談にのるだけではなく、進路・勉強の相談、親子・家庭問題、先生・クラスへの適応相談・・・など、保護者、教師と一体となって、幅広い視点で心理面でのアドバイス・働きかけを行う必要があります。

 子供を取り巻く悩み・問題に受動的に対応するのではなく、そういった問題を未然に防いだり、学校・保護者・地域全体で問題の芽を摘んでいく体制づくりにむけた支援という視点を持つことが大切です。

スクールカウンセラーの役割

 スクールカウンセラーは、1995年から文部科学省が全国の学校に配置を進めている職種で、学校が抱える心の問題の解消・学校への支援を目的として、これまで配置が継続されてきました。

 スクールカウンセラーが必要とされた背景は、学級崩壊・いじめなどが大きく顕在化し、学校・教師だけでは複雑化した問題の対処には、限界があると考えられたからといえます。ひと昔は教師が心の問題も含めて対処に当ってきましたが、学校を取り巻く環境が大きく変わったことにより、従来型の対処法では立ち行かないことに、国も気付き始めたのです。


 確かに、今では問題行為とされる体罰は、昔は当たり前に行われていましたし、道徳心の高い教師・熱血先生も、今と違って多かったでしょう。学校の問題が大きく表面化する事を嫌う体質がより強化され、事なかれ主義中心の学校運営が、教師をサラリーマン化し、保護者を横暴化させているという現実を我々は見てきました。

 特に、給食費の不払い問題や、保護者の教師に対する不当要求はエスカレートの一途をたどっており、耳を疑うような話ばかりです。教師が本来の教育以外の問題に振り回される機会が多くなり、肝心の「子供にしっかりと目を向ける」ということができなくなるのも頷けます。  子供は教師をなめてかかるようになり、コントロールする力を失った教師のクラスは学級崩壊へと向かいます。当然、そのような学級では、いじめがあった場合、十分な対処は期待できないでしょう。

 その他、教師の不祥事にも代表されるように、教師自体のモラル破壊、パワーハラスメントなどの教師間の人間関係、保護者からの不当要求によるストレスなど、教師を取り巻く環境も大きく変わってきました。

 もはや、単純に教育を行う場とはいえなくなった学校・・・。その複雑な学校環境で生じる、心に起因する問題をカウンセリングやアドバイスによって支援していく・・・それがスクールカウンセラーの役割なのです。


 単純に悩んでいる子供のカウンセリングだけを行うだけでは、学校が抱える問題の解決につながらないケースが多いのが現実です。スクールカウンセラーは、教師・保護者と連携して、事の本質を見抜いてアドバイスを行う必要があり、力量が大きく問われる仕事といえるでしょう。
 スクールカウンセラーは学校掛け持ちで教育委員会から派遣されるケースが多く、教師のように毎日学校にいる環境とは異なるため、各学校の人間関係・慣習や空気といったものに合わせた支援が必要です。



 また、学校は本来の目的が教育であり、心のケアをする場所ではないため、スクールカウンセラーの立ち位置にも気を配らなければなりません。カウンセラーが教師や保護者を指導するのではなく、子供の教育が行いやすい環境づくりにむけて、学校とは異なる視点からアドバイスを行い、一緒に解決方法を考えていくという立場に立つ必要があります。

 文科省が配置を進めるスクールカウンセラーは、臨床心理士の資格を有していることが条件とされていますが、いずれにしても、力量面での難易度は決して低くない仕事といえるでしょう。しかし、それに応じたやりがいも同時に感じられる仕事といえるでしょう。


関連する資格

 臨床心理士、学校心理士、教育カウンセラー、学校カウンセラー、認定カウンセラー、交流分析士、家族相談士、キャリアカウンセラーなどが主に関連します。



司法分野の心理職の仕事

 司法系分野の心理カウンセラーが活躍する職場は、家庭裁判所、少年鑑別所、少年院、刑務所などがあります。職種は家庭裁判所の調査官、少年鑑別所の法務教官、保護観察所の保護監察官、科学捜査研究所など警察機関の心理専門職などです。

 家庭事件、少年事件などを含め、事件の背景には大方、深刻な心の痛みや複雑困難な問題が存在しています。
 司法分野の心理職は、そういった問題に向き合い、社会復帰・更生支援を目的に、心理学などの人間関係諸科学の知識を活用しながら、紛争や非行にいたるメカニズムを解明し、更生のための処遇についての分析・助言などを行うことを主な仕事としています。

司法分野の心理職への適性

 国家公務員試験T種などの他、公務員試験に合格しての採用がほとんどであり、求められる心理学の専門性も高い職種といえます。さらに、当事者・家族への接見などを通して、心の痛みや問題を共有しながら考えていかねばならない職種であるため、人間としてのキャパシティー、忍耐力といったものも求められる仕事といえるでしょう。
 労苦が大きい分、やりがいを感じられる仕事ですが、人の心・痛みに触れ、共に悩み・感動することができる、情熱にあふれた人間好きの方が適職といえるでしょう。

 社会復帰・更生支援がこの分野の仕事の目標ですが、問題行為の背景にある心理、家庭環境などを見極める能力が求められます。また、未成年者の犯罪が増加傾向にあることや、犯罪の凶悪化が進んでいる背景からも、犯罪心理学の専門知識が活かされる必要性も増えています。

 司法分野の心理職の募集名称は、場合によっては、法務技官、心理専門官、犯罪被害者カウンセラー、少年補導員、少年警察補導員、警察心理職、科学捜査研究員などとなる場合があります。


関連する資格

 臨床心理士、応用心理士、認定心理士、認定カウンセラーなどが主に関連します。



産業分野の心理カウンセラーの仕事

 福利厚生が充実した企業などでは、働く人の心と体のケアをする担い手として、産業医、保健士、産業カウンセラーなどが活躍していますが、環境変化が激しい最近の産業構造を背景として、産業カウンセラーが活躍する機会がますます増えてきています。


 終身雇用制度が崩壊し、能力評価主義が常態化している中で、殺伐とした人間関係、急速な情報化、企業のめまぐるしい交代劇等についていけず、心のストレスを抱え、心身の健康を損なう企業戦士の数が、増えてきたことが要因と考えられます。


 医療的ケアと合せて行われる心理ケアなどは昔から行われていますが、就労者のための心理カウンセラーなどは、過去にはあまり考えられなかったものです。教育分野と共に、近年注目されている分野がこの産業分野の心理カウンセラーなのです。


 最近では、経営側自らが労働者の心理面での精神衛生を確保しようと努めるようになりました。悩みを持つ労働者個人の悩みやストレスケアは、その個人にとって意味あることですが、企業にとっても大きな意義があるということが認識され始めたのです。
 ある労働者がストレスなどによって、心理ケアが必要な状態になった時、それを個人の原因としてのみ考えるのではなく、その個人の周囲の職場環境などにも原因を探る必要があります。職場に何らかの原因があると認められたとき、それは、企業全体としてみたとき、体の一部が病気を引き起こしている状態にあるといえます。個人の心理ケアを通して、企業体の弱点を回復し、職場環境の改善、適切な労務管理、そして、労務効率の向上につなげるという考え方です。

 企業内の通風を確保することは、ひいては、利益拡大・雇用安定・社会貢献という企業の使命に結びつくものなのです。心理カウンセラーはこのように企業への支援という分野で益々の活躍が期待されているのです。



 企業専属の産業カウンセラーとして活躍するケース、あるいはカウンセリング専門の会社から各企業にプロカウンセラーとして派遣され活躍するケースがあります。また、企業の人事職員や、保健師などが産業カウンセラーの資格を取得して、その知識を仕事に活かすといったケースもあります。

働く人の悩みのケースは、職場の人間関係などにとどまらず、家庭環境や健康問題などとも関連するケースが多く、カウンセラーとしての守備範囲の広さが求められます。

関連する資格

 産業カウンセラー、臨床心理士、心理相談員、応用心理士、交流分析士、キャリアカウンセラーなどが主に関連します。



福祉分野の心理職の仕事

 福祉系分野の心理カウンセラーが活躍する職場は、児童相談所、児童養護施設、精神保健福祉センター、老人福祉施設、リハビリテーションセンター、知的障がい者援護施設、女性相談センターなどがあります。募集名称としては、ソーシャルワーカー、不登校専任相談員、児童自立支援専門員、心理判定員、福祉行政職などとなります。

 この分野の仕事の代表的なものに児童相談所の心理判定員が行う心理判定というものがあります。
 児童相談所で働く心理判定員は多く、全国の心理臨床職域の中で最も多くの心理職を要している職場といわれています。
 児童相談所には、ことばの遅れ、しつけ、性格行動、障がい児、健常児の発達相談などが寄せられますが、各専門家による社会的診断、医学的診断、行動診断、心理診断などを経て、総合的な観点から各相談への処遇方針が決められます。その中の心理診断の過程で心理判定が行われます。

 心理判定とは、具体的には各種の知能検査や発達検査、性格診断、面接・観察による心理診断をいい、訓練・指導・処遇方針の決定に必要な客観情報の提供を行います。心理治療・心理的指導が必要とされた場合、心理判定員は、カウンセリングや遊戯セラピー、家族療法などの心理療法を実施し、子供の成長発達を直接・間接的に支援します。



 その他、心理判定員や心理職としての職能が期待される職場として、職業訓練校、授産所、心身障がい児施設、精神薄弱児施設、母子寮、老人福祉センター、女性センター、保健センター、役所内の児童家庭課・・・などがあげられます。

 これらの施設では、単に心理治療を行うだけではなく、施設の性格・目的によっては、さまざまな業務を求められる場合があります。

 例えば、老人福祉センターなどでは、生きがい、孤独感、知能、人格特性、痴呆、寝たきりなどの実態調査・臨床実践研究など幅広い心理・福祉分野の調査研究を行ったり、福祉サービス計画策定への情報提供、支援などを行ったりもします。また、高齢者に対する生活一般指導や健康・介護・精神保健相談、徘徊高齢者を抱える家族に対する相談・支援などの業務も、心理職として果たす場合があります。

 他の施設も同様に、心理判定員であってもその専門職域だけを果たせばよいということではなく、各対象者への生活指導・社会復帰に向けた作業指導、施設内スタッフの抱える業務の代行などを行うのが実際です。心理判定員である前に施設の職員ですから、チームで対象者のケアに当たるという社会人として当たり前に求められる協調性と、心理分野以外の知識や技能を幅広く修得しようとする意識が大切です。

関連する資格

 臨床心理士、精神保健福祉士、認定心理士、社会福祉士、精神対話士などが主に関連します。