心理カウンセラーと資格の関係


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心理カウンセラーと資格の関係


 心理カウンセラーが活躍する分野は、大きく分けて、医療、教育、産業、福祉、司法、研究などに分けられます。具体的には、病院、学校、一般企業、老人福祉施設、裁判所、鑑別所、災害被災地など、様々な団体、機関等で活躍しています。

 各分野に関連するカウンセラーの資格も多数あり、どれか一つあれば完璧というわけではありません。様々な視点から成り立つ各資格を幅広く履修する事は、カウンセラーとしての幅を広げることにもなりますし、可能な限り取得を目指していきたいものです。

 また、カウンセリングの現場では、自分のフィールド以外の分野に関する知識が必要になる場合があり、他分野へも知識の幅を広げていくことも大切でしょう。

分野職場の例 関連する資格
医療 病院・診療所(精神科、神経科、心療内科、小児科・・)、精神保健センターなど 臨床心理士、学会認定交流分析士、精神保健福祉士、認定心理士、認定カウンセラー、精神対話士・・・
教育 小学校・中学校・高校、教育委員会、教育相談所など 臨床心理士、学校心理士、教育カウンセラー、学校カウンセラー、認定カウンセラー、交流分析士、家族相談士、キャリアカウンセラー・・・
産業 官庁、一般企業など 産業カウンセラー、臨床心理士、心理相談員、応用心理士、交流分析士、キャリアカウンセラー・・・
福祉 児童相談所、児童養護施設、精神保健福祉センター、老人福祉施設、リハビリセンター、知的障がい者援護施設、女性相談センターなど 臨床心理士、精神保健福祉士、認定心理士、社会福祉士、精神対話士・・・
司法 家庭裁判所、少年鑑別所、少年院、刑務所、警察関連施設など 臨床心理士、応用心理士、認定心理士、認定カウンセラー・・・
研究 大学、大学院、研究機関など 臨床心理士、大学教員、研究員・・・


 上の表は、各分野ごとに心理カウンセラーが活躍する職場と、関連する資格を一覧にしたものです。各分野が互いに関連しあい、別視点による働きかけが同時に必要になることがあるため、分野の境界が曖昧な場面もありますが、逆に明確な境界を引くことの合理性も無いため、大まかなくくりがあるものと捉えておけばよいでしょう。



 心理カウンセラーの資格は、医師、看護師、弁護士、建築士のように法律によって資格や身分が明確に定められた免許資格とは異なります。

 例えば医師、看護師などは免許保有者でなければできない行為が法律で明確に定められていますが、心理カウンセラーは法律によってカウンセリング行為が制限されているわけではありません。つまり、資格が無くてもカウンセリング行為はできるわけです。

 心理カウンセラーは、現時点では国家資格として身分が明確に位置づけられていないという大きな違いがあることを、まず知っておきましょう。



 また、心理カウンセラーという名称の認定資格があるわけではありません。職種の総称として心理カウンセラーという言葉が用いられますが、具体的には臨床心理士、認定心理士、スクールカウンセラー・・・などのように、各分野ごとの認定資格が各団体等によって定められています。
 ですが、法律で定められた国家資格ではないため、法律上は任意資格・民間資格という位置づけになります。つまり、極端な話し、カウンセラーと称するのは自称でもかまわないわけです。



 文部科学省が配置を進めているスクールカウンセラーなどのように、臨床心理士をスクールカウンセラーの推奨条件とするなど、就職の条件として資格が求められる場合があります。

 カウンセラーの種類・活躍の場は多岐に渡りますが、カウンセラーを求めている企業や団体などが、どういったタイプのカウンセラーを必要とし、どういった資格を有していることを採用の条件とするか・・・。心理カウンセラーの資格取得の意味合いはそういうところからも生じるわけです。

 国家資格でないとはいえ、その人の能力・スキルの尺度を客観的に示すものとして確立された資格ですので、カウンセラーとしての迫をつける意味合いはあるといえるでしょう。
 ですが、その資格によってカウンセラーを名乗ることと、それを生業とできるかは別問題です。実地経験・資質・人間性が伴って初めて、社会から認められるカウンセラーといえるというのは当然です。


 だからといって、資格が無ければ、カウンセラーとして全く通用しないかといえば、そういうわけではありません。社会で活躍している無資格の経験豊富なカウンセラーは多数いるわけです。


 つまり、カウンセラーの資質は資格が全てではないのですが、社会から見た客観性を考えると、資格はあったほうがいいといえるでしょう。
 また、資格取得に向けた努力は、その分野の外郭を把握し、知識・能力を向上させる上で非常に有効なことです。カウンセラーの資格は最低限あって当たり前・・・大事なのは実地・・・という意識でいるぐらいが望ましいのではないでしょうか。



 心理のエキスパートとして、あらゆる心理関係の資格を取得することは、自己のスキルアップにもなるし、就職の際の大きな武器になることは間違いありません。しかし、心理カウンセラーの仕事で大切なのは実地であるということを踏まえると、資格のみをとりあさるというのは、カウンセラーとしての成長を考えた場合、効率的とはいえないでしょう。


 資格を得た途端に、カウンセラーとしてパワーアップするわけではありませんから、やはりカウンセラーとして自分が希望する活躍のフィールドを見定めて、できれば実地経験を積みながら資格を得ていくというのが実のある資格取得といえるでしょう。


 ですが、自分がカウンセラーとして活躍したい分野がどの分野かが見定められない・・・基礎知識を積み上げた中で、自分のフィールドを見極めたいという考え方もあるでしょう。各資格について広く知識を取り入れ、探求分野を絞り込んでいくというアプローチも一つの方法です。
 資格を取得すれば、社会から当然認知されやすいですし、現場が大事な世界とはいえ、資格取得で得た専門的な知識を実地に生かせば、よりベターなカウンセリングが行える機会が増えるでしょう。資格偏重はいけませんが、資格取得により得られるメリットも尊重すべきです。資格など不要・・・現場経験のみで十分・・・というのは偏った考え方といえるでしょう。



 どうせカウンセラーになるのだったら、資格取得に向けた努力を有効に活用して、自己のスキルアップに活かすことが効率的ですね。名を得ると同時に実も得る。そして、実地に結び付ける。
 当然ですが、相談者にとってはあなたがどんな資格を持っているかは関係ありません。あなたが、どう接してくれるかが大切なのです。最終的には、資格は自慢できるものでもなんでもなく、あって当前と思っておきましょう。



 司法、医療、教育、産業、福祉・・各分野に身を置いてカウンセリングを行う場合、一つのジャンルの知識さえ習得していればいいというわけではありません。カウンセリングを実際に行う際には、他分野の知識や、全く関係の無い分野の知識も必要とされる場合があり、広い分野にわたる知識や経験が必要とされるのです。


 例えば、産業カウンセラーとして社内のスタッフの悩みに応える場合、悩みの種類は職場の人間関係にとどまらず、子供の教育、親の介護、夫婦関係にまで及ぶわけです。当然、産業カウンセラーの守備範囲を超えるケアが必要になるわけですが、そういう場面こそ、カウンセラーとしての力量が問われのです。
 ですから、一つの資格に固執することなく、できれば複数の他分野にわたる資格を目指すことは、自己の見識を広める意味でも大切なことといえるでしょう。

 だからといって、資格マニアと理想の心理カウンセラーとは同義ではないので、自己のスキルアップという目的で、実のある資格取得を目指さなければ意味がありません。

 資格取得の前に、まず自分が活躍したいジャンルを絞ることの大切さが、お分かりいただけますでしょうか。医療系なのか、スクール系なのか、福祉系なのか・・・。自分の得意分野をあるレベルまで深く学びつつ、そこを中心に、広範囲に知識の裾野を広げていくのが理想といえるでしょう。



 心理カウンセラーは資格があれば、身分が保証されるわけではないのはご理解いただけましたね?心理カウンセラーの就労環境は依然として厳しい現実があるのです。


 医療の現場では医師・看護師は物理的なケアする一方、心理カウンセラーは精神面・心理面でのケアをするわけですが、人を治癒するという目的は同じであるはずなのに、地位や報酬の体制に歴然とした差があります。確かに、高度な科学的知識が必要な医療と心理ケアを単純比較することはできませんが、だからといって心理カウンセラーが単純で楽な仕事というわけではないのです。カウンセラーの受ける精神的ストレス・労力は重労働に匹敵することもあるのです。

 心理カウンセラーの必要性・重要性について十分に認知されるまで、まだ社会が成熟していないといえるのでしょう。その原因は、目には見えない心を取り扱う分野であるという点にあるのだと思います。


 また、社会ニーズに応じて心理カウンセラーの拡充・体制強化が図られる一方で、逆にカウンセラーをできるだけ必要としない社会に向けた体制作り・支援といった国家的視点も一方で考えられます。ニーズが増加したからといって、単純に心理カウンセラーの地位向上・待遇改善の気運が高まるとは言い切れないでしょう。心理カウンセラーという立場は、そういった流動的な社会の中に置かれているのだと思います。
 いずれにしても、心理カウンセラーとして生計を立てるのであればプロ意識が絶対に必要ですし、不断の努力が必要です。そして、門戸が狭く厳しいという現実に、打ち勝たねばなりません。
 心理カウンセラーの資格は、履歴書に英検1級とか珠算1級と書くのと同じレベルで考えましょう。その資格で就職が決まるわけではないのです。

大事なのは資格よりも人間性・社会性・責任能力


 また、心理カウンセラーの活躍のスタイルは多種多様であり、心理カウンセラーオンリーにこだわる合理性も乏しいといえるでしょう。就職して社会に参加しながら、カウンセラーに近い仕事を傍で見て、参加の機会を待ちながら、資格を目指して自分を磨いていくことも一つのスタイルです。心理カウンセラーオンリーにこだわって、食べていけないでは、自分が本当に行いたい社会奉仕ができなくなってしまいますよね・・・。



資格取得=就職ではなく、資格取得+人間力=就職なのです。


 これは、どこの世界でも同じ・・・。資格取得も、問題解決能力やハードルを超えるための努力を継続できる能力があることを示す、人間力の一つのバロメーターなのですが、責任能力・人間性・社会性があって、初めて社会参加への切符をもらえることを忘れないでください。
 資格は身にならなければ取る意味が無いと、資格取得にてこずっているより、資格は単純な試験だと割り切ってサクッと取って、社会に出て経験を積んで身に浸み込ませる方がよっぽど効率的なんです。これは、先輩社会人なら誰もが感じていることです。
 大事なのは人間力、資格取得は人間力のほんの一部だと考えましょう。