心理カウンセラーってなに?
心理カウンセラーとはどのような仕事をする者をいうのでしょう?看護婦などと違い、あまり身近な職業でないために、その仕事の内容がわかりづらいというのが、多くの方の率直な感想だと思います。
心理カウンセラーと聞くと、「心の相談員」という印象が単純に思い浮かぶと思いますが、わかりやすさ優先で言うと、そのように考えても間違いではないと思います。
実は、この心理カウンセラーという仕事を一般の方に理解していただくことは、大変骨の折れる作業なのです。特に「カウンセラーに世話になるのは、心の病気を持ってる人だけだ・・・」という一方的な偏見を持っている方に対しては、困難を極めます。一般の人こそ心理カウンセラーのケアを受けるべき時代が到来しているといえるのに・・・。
テレビ・ラジオの人生相談番組などでは、悩みに答えるシーンがありますが、要は、あれが心理カウンセラーの仕事?と思っていた方も多いかもしれません。広い意味ではそれも含まれるかもしれませんが、番組を行っている真の目的が、視聴率・聴取率の獲得であるため、相談者の本当の心の回復という目的から視軸がずれている場面が見受けられます。実社会のカウンセリングとは性格が異なりますので、誤解のないように・・・。
心理カウンセラーにはいろいろある
さて、心理カウンセラーという言葉が非常にポピュラーなっているものの、その名称に法的な定義はなく、心理カウンセラーという名称での国家資格もないため、とてもわかりづらいものとなっています。心理カウンセラーと自称するのに、なんらの制約もなく、ここからここまでが心理カウンセラーの仕事です、といった明確な社会通念もありません。
心理の知識を学ぶ場は大学や大学院の他、民間の資格学校・講座等がありますが、大学で心理学を学んだ人のみが心理カウンセラーというわけでもありません。また、心理の資格の中で最も権威のある資格といわれている臨床心理士の事を指して心理カウンセラーという呼ぶ方もいますが、そうと決まっているわけではありません。

現在、結婚カウンセラー、不動産カウンセラー・・などをはじめとして、あらゆる分野でカウンセラーという言葉が使われ、心理カウンセラーという言葉に混乱を覚える方が多いのが事実です。
コンサルタントであって、心理カウンセラーとはちょっと違うのでは?と考えられるものもありますし、さらに、心理を謳う催眠術教室や、怪しい講座・塾などもあり、そのようなまがい物との境がつけづらい資格などもあります。
心理カウンセラーは注目の資格!として扇動し、高額な講座料金を搾取することが問題とされたトラブルも聞かれます。
定義はないとはいえ、心理カウンセラーの存在は、社会に対しての貢献があってはじめて認められるべきものであり、社会での実用性や効果の低い資格を金銭目的に斡旋する業者によっては、人々から信頼される心理カウンセラーは生まれてきません。
心理カウンセラーという名称は、狭い意味でも、広い意味でも用いられる言葉ですが、法的に確立されておらず、規制が働かない職域であるため、様々な不道徳なものの混在を排除できないということをまずは知っておきましょう。

カウンセリングとは
カウンセリングとは相談・助言することの一般を指して言いますが、
カウンセラーという呼称は現場でもよく用いられています。
カウンセラーの役割は、悩みを抱えた人の苦悩を軽減し、あるいは、苦しみに耐える力をサポートしたり、問題の解決まで痛みを共にして、相談にのることです。一般的には、この
カウンセラーという仕事を専門的に行う者を指して心理カウンセラーと呼ぶことがあります。
当然、世の中の相談にはいろいろなものがありますが、心理的な要素を含まない、来談者の心や悩みに目を向けない相談は、名前がカウンセラーであっても、心理カウンセラーとはいえないでしょう。
例えば転職カウンセラーという名称がありますが、来談者の性格や悩みを親身に受け止めて、適職を斡旋するなら心理カウンセラーと呼べなくもないかもしれませんが、心のケアよりも転職先の斡旋が主なわけですから、プロの心理カウンセラーとしての実力を備えている人でなければ、心の深層にある深い悩みまでをケアしてもらうことを期待するのは難しいでしょう。悩みがその人の就職や人生に最も影響を与えている原因となっていたとすれば、そちらが先決なのは言うまでもありません。
そうであれば、転職相談の前に、信頼できるプロの心理カウンセラーに協力してもらい、心の深層にある問題を探り出し、自己発見・自己解決することが先決といえます。
データや、マニュアルによる表面上の適性診断よりも、心の問題解決を中心に、その人のよりよい人生を見据えてケアをするのが、プロの心理カウンセラーといえるでしょう。
様々な○○カウンセラーという名称が先行する向きがあるため、心理カウンセラーの何かしらの定義が必要にも思います。
心理カウンセラーの定義
実社会では、
心理の知識や資格を活かして活躍している方が実にたくさんいます。
司法、福祉、医療などの専門的分野で行われる治癒・治療・支援といった公共的サービスの中で、
心のケアという部分を担いながら、専門的スタッフとして活躍したり、企業・学校・あるいは一般の方を対象とした悩み・人生相談などのいわゆるカウンセリングを行っています。
例えば、家庭裁判所で非行少年の心に向き合い、心理面から更生の手助けを行う。児童相談所で、児童の心理診断・心理治療を行い、児童・親への支援・相談を行う。学校での児童や保護者の学業以外の悩みに応え、教師とともに問題解決に努める。企業内で就労者の心の問題に関する相談・ケアを行い、企業内環境の向上に寄与する。
これらは、ほんの一部ですが、どれも心理の知識や資格を活かして活躍する姿です。
実社会での心理職の呼称は、分野によって、調査官、心理技官、心理判定員、心理技師、スクールカウンセラー、産業カウンセラー、○○相談員、○○研究員・・・と様々であり、カウンセリングとは若干性格が異なる専門性の高い診断や、治療行為、研究などを行う職種もあります。カウンセリングを専業的に行っている方ばかりではないのが現実です。
では、○○カウンセラーと名がつかない人は心理カウンセラーとは言わないのか?といえば、そういうわけでもありません。
それら多分野・多職種にわたる仕事に共通する基本技能・・・それは、心理知識・技法を活用し、悩める方に直接接して、苦悩を軽減し、痛みを共有しながら心をサポートしていくというカウンセラーとしての能力です。
一見それぞれが異なるように見える職であっても、その共通する基本技能を有し、それを生かした仕事をする者を総称して
心理カウンセラーと呼ぶ場合もあります。心理カウンセラーはそのように、広義に用いられる場合もあるのです。
よって、肩書きが○○カウンセラーという名称になっている人や、民間資格の○○カウンセラーを取得した方だけが、心理カウンセラーである・・ということではないわけです。
やや抽象的ですが、定義をするとすれば、心理カウンセラーとは、心理学の知識・技法を用いて、ケアが必要な方の心の状態を判断し、問題を解決に導くためのお手伝いをする者といえるでしょう。
心理カウンセラーという肩書きに拘っても意味がない
心理カウンセラーが活躍する分野は非常に広範で、実際に行っている業務も、特に医療・司法・福祉分野では、専門性が非常に高いといえます。各分野の性格があまりにも異なるため、心を扱うという唯一の共通項を除き、そこで活躍する心理カウンセラーの仕事が、一見、まったく異なるようにも見えます。
現実には、カウンセラーと呼べない仕事の割合が高い方もいるでしょうし、様々な業務を掛け持ちしている方などもいます。カウンセラーとして、活躍していても、研究、計画策定、コンサル業務などを兼務したり、逆にこれらの業務のウェイトが高い方もいます。
かといって、カウンセリングの仕事の割合が少ないと、心理カウンセラーではないというわけではありません。多少縁遠く見える仕事でも、
カウンセラーとしての基本技能や人間性を背景に所有していなければ、心を扱う仕事はできないのです。
そもそも、どこからどこまでが、心理カウンセラーなのか?そのような議論はあまり意味を成さず、明確な定義をすることの実用上のメリットもないといえるでしょう。
いずれにしても、心理カウンセラーとは心を中心に問題解決を試み、来談者の心を自発的に回復に向かわせるる者であり、いわゆるコンサルティングや、具体的なアドバイスを行って、表面物理的な成果を提供する自称カウンセラーとは一線を隔する必要があります。
肩書きにこだわるのではなく、どのように心を扱う仕事に関わりたいかという、あなたのこだわりが大切なのです。
心理カウンセラーの大切な価値
心理カウンセラーという呼び方は、さして重要ではありません。重要なのは、心理カウンセラーを目指す方であれば、具体的にどのような仕事を目指したいのか、自分の適性はどの方向に向いているのか、どのように仕事への関わりから、喜びや、やりがいを感じられるかを自らの心で見極めることです。
自己診断をするために大切なことは、様々な情報を一望して俯瞰できる環境を手に入れることです。断片的な情報からは、心理カウンセラーのすべてを見渡すことができません。
当サイトは、まさにそのような環境を提供することを目指しており、偽物と本質の見分ける分別を得てもらい、皆さんが迷うことのないよう、あえて厳しい現実を突きつけることになるでしょう。
淡い期待や、眼前に黄金郷があるかのようなイメージを打ち砕くことは、皆さんにとってマイナスではないと考えています。むしろ、地味で苦労や負担も大きく、国や社会からいつまでたっても地位が保証されず、儲からない稼業であるという厳しい現実を知っておくことは、皆さんが着実に心理カウンセラーとしての歩みを進めていく上での強い下支えとなるでしょう。
ただし、確実にいえること・・・それは、仕事の達成感、やりがい、充実度は、その他の職業・・例えば、利潤極大化をひたすら目指す企業のサラリーマン、事なかれ主義のお役所の役人が味わうものとは比較できないほど大きく、喜び深いものがあるということです。
たいてい世の中の仕事は、間接的に社会に貢献していても、直接感謝の気持ちを感じることは少ないです。一方ダイレクトに、来談者がほっとした表情でその喜びや感謝の気持ちを返してくれるのが心理カウンセラーという仕事の魅力です。自己鍛錬を粘り強く継続した者のみが味わえる喜びですが、この何にも替えがたい価値があるからこそ、不遇な状況にあっても活躍する心理カウンセラーの数が減らないのです。
来談者の笑顔はカウンセラーの大きな自信になり、人間としての強い自信にも結びつきます。その自信が積み重なると、やがて自分のカウンセリングスタイルができあがり、信頼へとつながります。
心理カウンセラーの身分保障や法整備を直接的に訴えるよりも、社会から信頼される心理カウンセラーが多数輩出され、活躍成果を社会に確実に示すことが大切でもあります。市場が認めれば、自然と国や社会は動くでしょう。決して地位保障を先行目的としてはいけません。
一言では言い表せないのが心理カウンセラーという仕事・・・心を扱う仕事とは、実に多種多様な活躍範囲を持ち、無限の可能性と将来性を含んだ仕事ともいえます。過度な期待をしてはいけませんが、着実な努力を必ず喜びとして返してくれる職業であると信じています。
家庭裁判所、少年鑑別所、児童相談所、福祉施設、医療施設などで活躍する心理カウンセラーはわりと馴染があると思います。実際に心の救済が明らかに必要な方への心理ケアは古くから行われてきました。
これらは、国民が享受できる最低限必要なサービスとして、公共的施設としての役割から提供されている場合が多いといえます。社会的な救済、もしくは医療的な救済と組み合わせたチームケアの中で、心理的なケアが求められており、心理カウンセラーはこの分野で能力を発揮しています。
これらは、当然必要な支援として社会から受け入れられています。たとえば、障害児童とその親に対する相談や心理ケアは絶対必要であるということは誰もが疑問を持たないはずです。
ところが、近年注目されてきた
教育分野、産業分野、一般分野での心理カウンセラーは、馴染が薄いかもしれません。というのは、心理面での救済が必要であるとの認識が比較的薄い、あるいは、心理面での救済など必要ないとこれまで考えられていた領域だからです。
たとえば、ストレスを抱えた労働者に対する心の支援を企業が経費をかけて行うなどは、経営者側からすると無駄な経費に写っていたわけです。
しかし、これまで必要と考えられていなかったそれらの領域における心の支援の必要性を、社会は、さまざまな問題を通して、我々に問いかけてきています。
・中高年の自殺者の増加
・少年犯罪の凶悪化
・学級崩壊、教師のモラル破壊
・ドメスティックバイオレンスの増加…
これらの問題と、心理支援は直結するものではないと思いますが、心の支援を一般人の誰もが気軽に受けやすい世の中になると、これらの問題の減少に少しでも結びつくとの期待が持てるでしょう。
逆に、ボランティア活動などを含めた心に対する社会的支援が、十分でないにしろある程度根付いているからこそ、ここまでの問題件数で済んでいるとも解釈できます。
このことからも、心理カウンセラーによる支援体制の充実、地位向上などが期待されているといえます。
心理カウンセラーという仕事がまだ一般に浸透していない日本で、誰もが気軽に心の相談ができる環境が根付くには、まだ相当の期間が必要でしょう。
これまでの経済優先・実績主義の社会では、心の問題などは、2の次、3の次・・いや、それを問題視することすらタブーだったのですから・・・。教会に行って懺悔するなどの慣習などなかった日本では、心の悩みを近親者以外に打ち明けるということがなかなか理解されないというのは、いたしかたないことです。
心理カウンセラーがかなり認知されるようになった最近でも、「心理カウンセラーに相談するのは病にかかった人だけだろう・・・。」「心の相談に乗ってくれると知ってはいても、それを利用しようとは思わない。」むしろ、「そのようなものを利用するのは、愚かなことである・・・」とさえ一部にはいまだに考えられているのです。
心理カウンセラーの活動や、その成果が数字として表しづらいということもあり、理解が進まない、誤解を受けたまま・・・というのが実態です。心理カウンセラーは社会貢献と同時に、理解の促進、誤解の解消にも努めていく必要があるといえます。
心理カウンセラーの仕事を本質の面から言うと、「相談者の心を最優先に見つめる仕事」と言っていいと思います。
相談者の心を最優先に見つめるということは、悩みを解決するための具体的な解決法を提示したり指摘を優先させるのではなく、なぜ心の悩みが生じたか、悩みの本当の原因はどこにあるのかを見つめ、相談者と共に探り当てるということをさします。
例えば、ある夫婦関係で悩んでいる方に対し、
「あなたの考え方は、間違っています」
「私ならこうします」
「相手の良い部分だけを見ましょう」
などのように指示することは、心の問題を解決する上では、遠回りとなる場合があります。

まず、なぜそのような夫婦関係の悩みを持つことになってしまったのかというところに目を向けることが大切です。仮に、相談者の考えや行動が、社会通念に照らして間違っていたとしてもです。間違いはいつでも指摘できます。むしろ本人がその間違いに一番気づいていることが多いのです。指摘する前に、なぜそのような間違いをすることになったのかを見つめ、相手を親身に受け止め、理解してあげることを優先させるのです。
悩んでいる方にとって、自分の理解者を得ることは何よりも大きな安心となり、その安心が解決への大きな後押しとなってくれるケースが実際には多いのです。

もちろん、単純に解決の道が開けないケースもあります。相談者によっては、医学的な働きかけが必要なこともあったり、権利などが絡んだりして、法的な解決策の提示が心の負担を軽くするのに有効に働く場合もあるでしょう。また、軽い悩みならば、お説教型のカウンセリングが奏効することもあるでしょう。
ですが、いかなる場合であっても、心理カウンセラーとは私情や固定観念を排し、相手の心に寄り添い、相手の心を見つめ、相手の立場で理解し、相談者の心に溜まったつかえを優しく取り除いてあげるという奉仕者の精神がベースにあるべきと考えます。
場合によっては、その答えにたどり着くのに膨大な時間を要したり、遠まわりをすることがあります。ですが、人の過ちをを鬼の首を取ったように指摘して、一刀両断で解決を急ぐことは、心理カウンセラーの本分ではありません。そういったカウンセリングはメディア番組に任せましょう。
法律や社会常識よりも、相手の心を優先して考える。解決法を指示するのではなく、悩みを吐露し、打ち明けてもらうことで相談者の自発的解決を促す。それがプロの心理カウンセラーなのです。
メディア番組の人生相談で見聞きする、一般常識の強制や、お説教態度は、時に相談者に安心を与えますが、一方で、見るものに不快感を与えることがあります。目指すべき心理カウンセラーの姿はあなたが決めるのですが、絶対ということがない心理カウンセラーの世界でどういう心理カウンセラーになりたいかは、あなたの心が決めるといっていいでしょう。