産業カウンセラーは、働く人を支援するカウンセラー
産業カウンセラーとは、心理学的手法を用いて、働く人たちが抱える問題を、自らの力で解決できるように援助することを主たる業務としています。
リストラ、終身雇用制度の破綻、高度情報化、効率優先などにより、中高年をはじめとする労働者を取り巻く環境が窮屈になると同時に、職場環境などに苦しむ多くの労働者たちの良き理解者・援助者としての活躍が期待されるようになりました。
産業カウンセラーは、人間はそもそも、より良い自分を目指し、素晴らしい能力をもっているという考え方を前提として、それを援助する立場をとります。コンサルティングではなく、来談者の自己解決を心の側面から支援する役目を果たすのが産業カウンセラーです。
個人の問題解決を援助するばかりでなく、その個人の悩みや問題を通して組織の通風・血流阻害要因を見極め、最終的には組織の環境改善や業務効率へつながるように助言をすることも、産業カウンセラーに期待される大きな使命といえるでしょう。
産業カウンセラーは次の3つの領域で主に活動しています。
1 メンタルヘルス対策への援助
近年の企業の人事労務政策の変化、とくに雇用の不安定化、成果主義の導入などが労働者にあたえているストレスは厳しいものがあります。仕事の生産性の低下や心身の変調へとつながり、些細なミスが大事故を発生させる危険も予想されます。許容量をはるかに超える過度のストレスに対する組織としてのコントロールが必要であるとともに、個人としてのそれに対する予防方法・ストレスのコントロールを助言・援助することが大切です。
産業カウンセラーによる個別カウンセリングはもとより、管理・監督者に対するメンタルヘルス研修などを通して、産業カウンセラーは職場のメンタルヘルスの維持・改善などの要望に応えます。
2 キャリア開発への援助
いま、産業構造の変化、技術革新の進展、労働者の就業意識・就業形態の多様化のなかで労働移動が激しくなりつつあります。その結果、企業内だけでなく企業外でも通用する職業能力が労働者に求められています。
厚生労働省も2003年度から、労働者のキャリアアップを援助するキャリア・コンサルタント資格制度がスタートし、現在、社団法人日本産業カウンセラー協会のキャリア・コンサルタント試験は厚生労働省の認定を受けています。
3 職場における人間関係開発への援助
職場で発生する問題解決のためには、予防的対策が必要です。総合的なメンタルヘルス対策とキャリア開発とともに、個人としての成長を促す人間関係育成のためのアプローチが必要です。
具体的には管理職と職員との関係、経営政策への参加意識、ソーシャルスキル、リーダーシップ、アサーションスキル、コミュニケーションスキル、自己開示などを指導・援助します。
産業カウンセラーの資格を得るまで
産業カウンセラー試験(以下「試験」という。)は、産業カウンセラーとして必要な基礎的学識、技能及び一般的な素養を有するかどうか判定することを目的として、学科試験及び実技試験により試験を行います。
実技試験は、ロールプレイ及び口述の方法により、次の各号に掲げる事項について行います。
. 産業カウンセラーとしての基本的態度
. 技法の適切な活用
. 自己理解的側面
. 社会的貢献への姿勢及び認識
産業カウンセラーの受験資格 平成21年4月以降適用
次の各号のいずれかに該当する者は、試験を受けることができる。
(1)4年制大学学部及び大学院研究科において心理学又は心理学隣接諸科学、人間科学、人間関係学のいずれかの名称を冠する学部又は専攻(課程)の卒業者であって、次号に定めるA群からG群までの科目において、1科目を2単位以内として10科目以上、20単位以上を取得していることを要する。ただし、D群からG群の科目による取得単位は6単位以内とする。
(2)科目群は以下のとおりとする。
A群:産業カウンセリング、カウンセリング、臨床心理学、心理療法各論(精神分析・行動療法など)の科目群
B群:カウンセリング演習カウンセリング実習などの科目群
C群:人格心理学、心理アセスメント法などの科目群
D群:キャリア・カウンセリング、キャリア概論などの科目群
E群:産業心理学、産業・組織心理学、グループダイナミックス、人間関係論などの科目群
F群:労働法令の科目群
G群:精神医学、精神保健、精神衛生、心身医学、ストレス学、職場のメンタルヘルスなどの科目群
(3)成年に達した者で、協会若しくは協会が他に委託して行う産業カウンセリングの学識及び技能を修得するための講座又は協会がこれと同等以上の水準にあるものとして指定した講座を修了した者
詳しくは社団法人日本産業カウンセラー協会でご確認ください。
人間関係の悩みなどといった、心の悩みや問題を軽減したり解決するために、臨床的な心理学の技法を用いて心理療法を行う専門資格です。
(財)日本臨床心理士資格認定協会の認定資格
「臨床心理士」とは、臨床心理学の知識や技術を用いて心理的な問題を取り扱う「心の専門家」として、(財)日本臨床心理士資格認定協会の審査によって認定される資格です。
これまで活動を行ってきた心の問題に取り組む専門家に対する資格制度の整備が遅れていたことを背景に、心理臨床に関連のある16の学術団体(学会)の総意に基づいて、1988年(昭和63年)に「日本臨床心理士資格認定協会」が設立され、「臨床心理士」の資格認定が開始されました。
この協会は1990年に、文部科学省から公益法人格をもつ財団法人として認められ、2007年時点で、16,732名(医師440名を含む)の方々を認定し、文部科学省の実施するスクールカウンセラーの任用をはじめさまざまな領域で活躍しています。
臨床心理士は、その活躍する職域が広く、就職という観点においても評価の高い資格であり、専門性が最も高い、人気のある資格です。
なお、日本臨床心理士資格認定協会において、臨床心理士とは、常に個人の人権と福祉の増進及び社会的道義を守るため、別に定められている「臨床心理士倫理綱領」を遵守する義務を持つ高度専門職業人とうたわれています。
心のプロであり、かつ、人格者でなくてはいけない臨床心理士は、心理カウンセラーを目指すのなら是非とも取っておきたい資格です。
臨床心理士の仕事内容
臨床心理士が活躍する職場・仕事内容を以下に示します。臨床心理士は他の心理系認定資格と異なり、その職域が最も広いのが特徴です。なお、他に、臨床心理士が活躍できる比較的新しい職域・職種として、スクールカウンセラー、犯罪被害者支援、子育て支援、高齢者支援などがあげられます。
| 分野 | 職場の例 | 仕事内容 |
| 医療 | 病院・診療所(精神科、心療内科、小児科、その他)、保健所、精神保健福祉センター、リハビリテーションセンター、市町村の保健センターなど | こころの問題で不適応に陥っている人、病気やけがなどをしている人への心理的援助を行う。心理テスト、心理療法のほかに、デイケアやコンサルテーションなどの活動を行う。市町村の保健センターでは、保健婦とともに乳幼児の健康診査・発達相談などを実施する。 |
| 教育 | 学校内の相談室、教育センター、各種教育相談機関など | 発達、学業、生活面などでの問題に対して心理的援助を行う。本人との面接のほか、親面接、教師へのコンサルテーションなどを実施し、必要があれば、他の機関との橋渡し役も務める。 |
| 産業 | 企業内相談室、企業内健康管理センター、安全保健センター、公立職業安定所(ハローワーク)、障害者職業センターなど | 職業生活の遂行のために、面接や、職場内へのコンサルテーションなどの心理的援助を行う。就業の相談では、職業への適性を調査する。 |
| 福祉 | 児童相談所、療育施設、心身障害者福祉センター、女性相談センター、障害者作業所、各種福祉機関など | 子どもの心身の発達、非行、障害児・者、女性問題などの福祉に関することに対して、心理的側面から援助する。 |
| 司法 | 家庭裁判所、少年鑑別所、刑務所、拘置所、少年院、保護観察所、児童自立支援施設、警察関係の相談室など | 社会的処遇を決定する際の心理的側面に関するテストや調査、矯正に向けての心理面接などを行う。 |
| 研究 | 大学、大学院、研究機関など | 臨床心理士、大学教員、研究員・・・ |
また、教育の分野では、臨床心理士の養成に努めている有資格者の大学教員がいるほか、分野としては多岐にわたりますが、個人で開業している臨床心理士も徐々に増加しつつあります。
臨床心理士の資格を得るまで
(財)日本臨床心理士資格認定協会が指定する第1種指定大学院を修了し、またはそれと同等の受験資格を得た者で、協会が行う資格審査に合格した者が、資格を得ることができます。
資格審査は毎年秋に1回実施されます。審査内容は、臨床心理士として必要な臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理的地域援助及びそれらの研究調査等に関する基礎的知識及び技能についてです。審査は以下の要領で実施されます。
平成21年度
1. 試験
試験は以下の一次試験、二次試験に分れて行われます。
a.筆記試験(一次試験)
筆記試験は100題の設問(多肢選択法、マークシート方式)、および定められた字数の範囲内で論述する小論文の2種の試験からなります。ただし、専門職学位課程修了者は、小論文は課されません。
b.口述面接試験(二次試験)
口述面接試験は多肢選択法(マークシート)による筆記試験の成績が一定の水準に達している人に対してのみ行い、2名の面接委員により実施されます。
2.審 査
上記審査は筆記試験(マークシート・小論文)および口述面接試験の結果を総合的に判断して行われます。
資格審査申請書類請求期間
平成21年7月10日〜平成21年8月21日
受験申込受付期間
平成21年7月11日〜平成20年8月31日(当日消印有効)
筆記試験(一次試験)
平成21年10月31日(土)
東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-21-1)
口述面接試験(二次試験)
平成21年11月28日(土)、29日(日)、30日(月)
東京国際フォーラム(東京都千代田区丸の内3-5-1)
合格発表 平成21年12月下旬
詳しくは、臨床心理士資格認定協会でご確認ください。